そのメンズは地方出身でして。
こういう人、多いと思います。
やっぱり仕事とか何かしら事情があって馴染みのない地域に暮らすことになって会社以外に知り合いがいないというのもなんだかなあって感じになるのではないでしょうか。

そのサークルはメーリングリストもありました。
初めてメーリングリストという言葉を知った私はなかなか投稿できませんでしたがやはりサークルというのはある意味「良い人」が多いので「必ずレスしてあげるから書きなよー」と後押ししてもらえたりするんですね。


そんなわけで私はサークルにもメールにも着々と馴染んでいきました。

そのサークルはものすごく活発だったので滅茶苦茶イベントが多かったんです。
だからサークルが起動にのったらもう毎回毎回新人さんがあらわれてどんな人でも一応好奇心からか親切心からか話題の中心にはとりあえずなれます。
そうすると自分の財布の事情、時間の都合等で参加できないイベントが立て続いてしまうと、もう知らない人がわりといたりしたんです。


あと、何故かしょっちゅうイベント参加しているにもかかわらずメーリングリストのみを知っていて顔を知らないというのも結構ありました。

そのメンズはいつの間にやら登場していつの間にやら結構な人気者になったのです。
おそらく主催者の方たちが気を使って話題をふってあげてたりしたのでメーリングリストでも発言しやすく地方からの参入にもかかわらずコンプレックスなど感じずにいられたのではないかと。


で、私は正直メーリングリスト上では気にならなかったのですが、とあるイベントに参加したときにそのメンズが遅れてやってきまして。
それが初顔合わせです。
おそらくロクに話しなかったのではないかと思います。
全くといってよいほど記憶していません。

ただ、サークルの中では正直ルックスはかなり良かったです。
やや濃い顔系で、そこそこ背が高く、地方出身故かおっとりしており人当たりも柔らかい。
だから彼は結構男女問わず好かれるタイプだったのではないかと思いますねえ。
トシの割に若く見えたのもポイント高かったです。


こう書くと失礼ですが、ほんとにサークルって誰でも入会できるのでとんでもないルックスの人が多いのですよ。
男女問わず。
学校でも会社でもぱっとしない人々の集いっていう印象が私にはありますねえ。
なのでマトモなだけで美男美女の称号を簡単に与えられるのもまたサークルならではな特権です。


結局この彼とデートすることになりました。
というのも彼は人なつこいところもありましたし、まあサークルで人見知りしてても無意味だし、気さくに個人メールも出すひとだったんですね。
メーリングリストしててもやはり個人攻撃はしないと全く意味ないですね。
公の場でイベントして公のメーリングリストをして、、、、ってそれだけでステディなんか出来るわけないんですから。
まして携帯メールすら無い頃でしたし。

でもそんなこと言ってもなかなかメールなんて出せない、、、、と思われるかも知れませんが、今の時代ならば携帯メール、過去においてはPCのアドレスゲットはもう即効やってしまいましょう。
このとき重苦しい雰囲気は絶対禁止です。
楽しいお友達を装って「またメールとかしてもいい?」とか言いながらアドレスゲットですね。
最初にアドレスゲット出来ないのに後々になってアドレスゲットはもっと難しいと思いますし。


で、彼から個人メールをいただいたわけです。
後に発覚するのですが、彼は男女問わず個人的にメールを発信しておったようです。
そこでメールにマメなら話は続くだろうし、別にいらない、と思えば挨拶メールでお互い終わりだし。
私はメールをもらえたこと自体が嬉しかったので彼にレスしました。
でもやはり内容は覚えていませんが、数日後くらいに待ち合わせして晩御飯を食べることになったのでした。

確か土曜日で仕事が休みでメールチェックしていたところ夕方に時間があくのだけれどご飯でもどうですか的な感じでした。
お出かけ自体が嬉しかったのでお洒落して出かけましたねえ。
二回目の顔合わせなのですが、まあ、顔は覚えていました。

駅で待ち合わせたのですが、彼は車で来ていました。
向こうのほうから彼がほんの少し照れ笑いしながら歩いてくるのを発見した私は好印象を持ちました。
それを見て私は彼が好きになったんじゃないかとさえ思えます。
物凄く照れられたら「馬鹿か?こいつ」と思いますが微妙なテレが良かったのではないかと。


それから駅近のショッピングモールでオムライス専門店みたいなとこでご飯食べて車で送ってもらいましたが、既にこのときには私は彼を意識していましたので車で二人は緊張しましたねえ。
また彼が少し甘い感じの声だったのと人当たりが柔らかいのも私にとっては新鮮でした。
必ずしも爽やかなメンズが良いとは限らないのです。


その後メールも個人的にするようになっていきましたが、メーリングリストで彼が投稿しているのに自分に対しての個人メールにレスがなかったりすると腹が立ちましたね。
こういうのには是非注意を払ってください。
オンナは結構こういうの気にします。
皆に(しかも女性サークル会員に)メーリングリスト上ではあるにしてもレスしているのに、何故私にはレスがないの?!と物凄い嫉妬と怒りが渦巻きますので、個人的にメールしているひとがいるならばメーリングリストよりも個人対応が最優先です。


さて、それくらい私的に盛り上がっていたのですが振り返ると結局彼と個人的にあったのはこれ一回きりで、後に彼が故郷に帰るときの送別会(でも、これ皆いましたから)、さらにその後一度ふたりであったっきりなのです。
というのも彼のお爺様が亡くなったり、妹さんが病気になったり、あと彼の抱える個人的問題等で結局私はフラれたのです。
彼と出会ってほんの2ヶ月くらいで故郷に帰ってしまったのですが、送別会で私は一万円くらいの腕時計をプレゼントしたのです。
まあそれは「好きだから」というよりも「送別」の意味だったので深い意味はないのですが、好きな人へのプレゼントなのでデパートでそれなりに楽しく悩みながら選んだものでした。
とても喜んでくれたのですがね。


故郷に帰ってから、彼が何度か電話をくれて深夜の長話もしたのですが、メールが来たのです。
とても一杯一杯で誰とも付き合えないのだというような内容で傷つかないように断られたのだと思いますが、あまりに傷つかないようにがメインになりすぎて私には難解でした。
やはり断るならある程度はっきりしないとフラれたんだか何だかよく解からないという不可解な気分が残りますので、傷つけることがメインではなくはっきりお付き合いは出来ないのですという事情は話したほうが良いと思いますね。
まあですからやはり彼は良くも悪くも「人当たりが良い」のだなあと今更しみじみしますねえ。

その時はやはりがっくりした私ですが後に彼に対する気持ちがザックリ無くなった瞬間があります。


数ヵ月後彼がこちらへ遊びにくるということになりました。
メールで待ち合わせ時間を決めて二人で会おうということになったのですが、その日になっても彼は待てど暮らせど連絡がないのです。
色々用事があるから時間が空いたら私の携帯に電話するということだったのですが、結局何時間たっても携帯は鳴らず。
そして後日「忙しくて時間がとれなかったのでまた今度来たときに会おう」というような内容だったと思うのですが、忙しい用事というのもサークルの男友達との飲み会であったので私は「も、イイヤこいつ」となったのです。
瞬間的に気持ちがザックリなくなるのを感じましたね。

ただ寂しいときには時々思い出したりもしばらくはしましたが今は良い思い出のひとつになっています。